現ワタミ会長である渡邉氏が、ワタミの手がける公的サービス分野(学校・病院・老人福祉・農業)を成功させてきた体験を通して、国や地方公共団体の関わる官制サービスの問題点に迫る一冊。
たとえどのようなサービス分野であっても、経営の視点を持って、お客様(サービス享受者)にとっての幸せを考えて取り組むことによって、きちんと利益をあげることができるのだと渡邉氏は説きます。
官は自分たちの利権を最優先して仕事をしている、という話は良く言われます。
この本では、官のやり方によってボロボロの状態だった学校や病院を、民間のサービス業の手法で甦らせていく姿を通して、官のやり方がどれだけ問題か、自由競争を制限することによってサービス供給者も享受者もいかに不幸になっているのかということがありありと描かれています。
P220
『この国の「官」がやることは、学校教育や医療でもそうでしたが、農業分野でも「誰のために」という顧客を念頭に置いた視点が欠けているのです。』
この本の主張がこの一文に凝縮されています。
どのような分野であっても、サービスを受ける人にとって幸せは何なのか?を一生懸命に考えて実行する。
それによってサービスを受ける側が納得してより多くの対価を支払うようになる。
更にそれが同業他社にも広まることによって競争が生まれ、さらにより良いサービスが生まれていくというスパイラルが生まれる。
それこそが「経営」の視点です。
こう書いてしまえば当たり前のことに聞こえるかもしれませんが、世の中で立ち行かなくなっているサービスを見渡すと、ほぼ例外なくこの経営の視点が抜けているものばかりです。
それと同時に渡邉氏は、どのような分野であっても競争の裏には落後者が出るので、それを救うセーフティネットを設けることこそが官の役割であると説いていることを付け加えておきます。
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