2010年6月25日金曜日

[Book] もう、国には頼らない。 経営力が社会を変える!/渡邉 美樹

現ワタミ会長である渡邉氏が、ワタミの手がける公的サービス分野(学校・病院・老人福祉・農業)を成功させてきた体験を通して、国や地方公共団体の関わる官制サービスの問題点に迫る一冊。

たとえどのようなサービス分野であっても、経営の視点を持って、お客様(サービス享受者)にとっての幸せを考えて取り組むことによって、きちんと利益をあげることができるのだと渡邉氏は説きます。

官は自分たちの利権を最優先して仕事をしている、という話は良く言われます。
この本では、官のやり方によってボロボロの状態だった学校や病院を、民間のサービス業の手法で甦らせていく姿を通して、官のやり方がどれだけ問題か、自由競争を制限することによってサービス供給者も享受者もいかに不幸になっているのかということがありありと描かれています。

P220
『この国の「官」がやることは、学校教育や医療でもそうでしたが、農業分野でも「誰のために」という顧客を念頭に置いた視点が欠けているのです。』

この本の主張がこの一文に凝縮されています。

どのような分野であっても、サービスを受ける人にとって幸せは何なのか?を一生懸命に考えて実行する。
それによってサービスを受ける側が納得してより多くの対価を支払うようになる。
更にそれが同業他社にも広まることによって競争が生まれ、さらにより良いサービスが生まれていくというスパイラルが生まれる。

それこそが「経営」の視点です。

こう書いてしまえば当たり前のことに聞こえるかもしれませんが、世の中で立ち行かなくなっているサービスを見渡すと、ほぼ例外なくこの経営の視点が抜けているものばかりです。

それと同時に渡邉氏は、どのような分野であっても競争の裏には落後者が出るので、それを救うセーフティネットを設けることこそが官の役割であると説いていることを付け加えておきます。

2010年6月19日土曜日

勝間和代「女に生まれたら、コレを読め~○マル活必勝法」出版記念講演会

勝間和代さんの出版記念講演会に参加しました。

ちょうど時間があったので生勝間を見てみたい、というミーハー根性丸出しの動機で参加したのですが、いろいろと発見の多い一時間でした。

最初に感想や気付きをまとめます。


・生の勝間さん
ぶすっとした恐いおばさんというイメージを持ってましたが、笑顔の素敵な綺麗な女性でした。

冒頭からすごいいい笑顔で登場し、そこで一気に引き込まれた感じ。笑顔の大切さを改めて痛感。


・PDCAのPだけやってる
最近、自己啓発系の本をたくさん読んでましたが、それってPだけでDCAが伴ってなかったかも、と反省。
失敗恐れず行動せねば!


・観客を見て感じたこと
特に最後の質疑応答で質問していた人を見て強く感じたことですが、なんだか他力本願な人が多いなぁ、という印象。

勝間さんは、その他の多くのビジネス書と同じように「実践しなければ意味が無い」ということをひたすら提唱している人物です。

この講演会に集まってくる人は、少なくとも勝間さんに何かしら刺激を受けているであろう人々のはずなのに、全然自分から動こうとしている雰囲気が感じられなかったのは残念でした。


以下,簡単に講演会内容のメモ。

■女は「二流市民」
女性の社会進出の割合を見ても差別されていることが明らか。
差別と庇護の狭間。
自衛のための知識が必要。


■だからこそ、女性には「◯活」が必要
男はモテる奴が強い。
女は和を保てる愛されキャラが強い。よって男より動きづらい。覚悟を決めて自分から動くことがより重要。


■PDCAサイクルとは
スパイラルアップによる成長。

人は失敗による消去法でしか学ぶことができないので、PDCAサイクルをたくさん回して失敗をたくさん知っている人の方が成長する。

失敗を恐れるな!


■◯活より
・就活
就活とは仕事を通じた幸せづくりのこと。
労働一神教では年齢を重ねるほど人生の満足度が下がっていく。
グローバル就活をするには英語がネックと感じる人も多いが、経理や事務などの仕事をするにはそんなハイレベルな英語は必要ない。
そこを気にして選択肢を狭める必要は無い。

・婚活
婚活とは合コンのことではなく、これまでの価値にとらわれない結婚相手を探す活動のこと。

夫婦の毎日の16分の会話は、月収10万円にあたるほどの満足度をもたらす。

パートナーとの結婚生活や子育てによって得られるものは非常に多い。

・住活
都会の新築物件はリスクもあるのであまりオススメしない
家を買うなら中古+リフォームがお得

賃貸の場合も家賃交渉などしましょう。
世の中、何事も交渉するのが大切。


■まとめ
この本はPDCAのPのアイディアを提供しているに過ぎない。

DCAをやらなければ何も変わらないし、それをできるのは自分だけ。

失敗を恐れずDCAの実践を!

また、無駄な競争をしなくていいように、競争相手の少ない分野や自分の得意なことを活かすことを考えましょう。


■質疑応答コーナー
Q50代以上の女性へのメッセージをお願いします(女性)

Aせっかく時間があるのだからNPO的な活動をもっと楽しんで。やりたいことをやってる団体が無ければ自分で作ってしまうのが早道。


Q本業が成果主義の導入などで給料が下がっています。何か副業などで稼げる方法はありませんか?(男性)

Aまずは本業の評価を上げられるように頑張った方が良い。時には酒の力なども借りて、評価制度がどのようになっているかを徹底的に調べる。そして少ない労力で大きな成果を上げられる工夫をすべし。


Q男はモテるのが大事との話があったが、モテるためのPDCAはどんな感じで組めば良い?(男性)

A自分が得意で、なおかつ女性にウケることに注力すべし。
プランを三つくらい用意して、PDCAで振り返りながら進める。
ちなみに勝間さんのセールスポイントは「女っぽくない人&頭の回転が速い人を好む男性に注力」だそう。


Q面倒見ている若手の女の子が、すこし厳しくあたるとすぐに「辞めたい」なんて漏らしている。どう接すれば良い?(会社で新人教育を担当している男性)

A今の世の中、仕事を辞めるのがどれだけのリスクなのかを説いてはどうか

2010年6月17日木曜日

[Book] 「戦う組織」の作り方 リーダーの覚悟が、人と会社をここまで強くする!/渡邉 美樹

テレビなどでもしばしば姿を見るワタミ会長の渡邉氏による組織論。

副題にある通り、組織の成長においてはリーダーの果たすべき役割が非常に大きいことであると説かれた一冊です。

仕事の上では若手から中堅と呼ばれる世代に突入したこと。また趣味でやっている吹奏楽団では、代表というまさにリーダーの役割を担っていることから、上に立つ者はどうあるべきかを学ぶべくこの本を手に取りました。


P63
『トップの「現場離れ」ができない組織は伸び悩む』

P64
『自分にとって楽な場所、楽しい場所ほど、部下に譲り渡さなくてはいけないのだ。』

部下への権限譲渡がなかなかできないという話をよく聞きます。

なぜ部下に権限を渡せないのかという理由が、結局はリーダーの自分本位な考えにあるのだと、この文章で気付かされました。

自分の勝手知ったるフィールドで楽をしていたい。そんな考えを持つリーダーの下では、部下も組織も絶対に伸びないでしょう。


P84
『「俺が育ててやる」と思うのは大きな自惚れ』
『環境ときっかけを提供するのがリーダーの役目』


人間は環境ときっかけさえあれば勝手に育つ。

自分のこれまでを振り返っても、確かにそうだと思います。

「部下教育」と聞くと、何でもかんでも教えてあげなきゃ!と変な気負いが生まれてしまいがちですが、それも結局は自分が中心という発想でしょう。

愛情を持って部下に接して観察し、どんな環境やきっかけがあれば伸びるかを考え、あとは適切なタイミングでその機を与える。

これを肝に命じていきたいと思います。


P149
『「今の仕事100%」と「明日の仕事20%」で新しいことにチャレンジする』

若くして企業して様々な苦労をしてきた。そんな苦労があったからこそ自分は上のステージに立てたのだと自分する渡邉氏は、若いうちの苦労は買ってでもしておくことを強く勧めています。

ただ、会社勤めをしているとつい守りに入ってしまって100%で満足しがち。そんな人が心に留めておくべきなのがこの一説。

自分のキャパシティを少し超える程度のことに常に挑戦している人こそが伸びるのだと、自分も改めて心に留めて毎日を過ごしていこうと思います。


P155
『自らビジネスモデルを描ける人材になるために、若いうちから鍛えておくべき能力とはなんだろうか。私はそれを、「想像力」と「仮説力」だと考えている。』

想像力は、本や雑誌で手に入れた情報を単に知識とするのではなく、自分なら?自社にあてはめると?の視点で考えることにより鍛える。

仮説力は、身の回りの問題に対して「理由は◯◯だから、××をしたら改善/解決するはず」という仮説を立てて検証する機会を持つことにより鍛える。

2010年6月16日水曜日

[Book] 儲かる会社にすぐ変わる!社長の時間の使い方/吉澤 大

著者は税理士と中小企業診断士の資格を持ち、様々な中小企業の経営コンサルティングを手がけている人物。

実際に見てきた社長達の姿を参考に、主に中小企業の経営者を参考に、自身の行動で利益を増やすにはどうすべきか?の提言をまとめた一冊。

社長というと雲の上の人のようなイメージを抱きますが、この本に書いてあることは部下を持つ立場の人間であれば、誰しもが意識しておくべきだと感じることも多くありました。

P18
『「人件費」「支払家賃」「支払利息」は、三つが相互に関連しながらスパイラル状に増えていく』

利益を圧迫する最大の要因は固定費の上昇にあることが多く、固定費の代表的な三項目は相互に絡み合いながら増えていく。

人を増やす⇨もっと広いオフィスが必要⇨借入金が増える

さらに、固定費の上昇の原因としてありがちなのが、季節変動・ブームと急成長である。

これらの費用は一旦上がるとなかなか下げることが難しくなるので、特に慎重な見極めが必要になります。

P72
『「AもできるB」というブランディングを目指す』

特定の分野でナンバーワンになるのは大変。
そこで効果的なのが、AもBも人並み以上にできますよ、というブランディング。

これは自分が個人として目指しているステータス作りと合致します。

P62
『社長が費やすべきは「ビジネスモデルの考案・選択」「他人にやってもらうためのしくみ作り」「人脈形成と情報・知識習得」である。』

P103
『労働生産性を向上させる大前提は「マニュアル化」にある』

社長という一番の高級取りは、他の人に任せられる細々した仕事よりも、さらに大きな利益を生み出す可能性のあるアイディアや人脈形成に動くべき。

これは社長に限らず、上司は部下にできることを部下に任せ、より大きな利益を生み出す努力をすべきということにもつながります。

そのための前提として必要なのがマニュアル化。

マニュアルは欲しいと思った時には作る暇が無くなっているので早め早めに作ること。

また、チェックリストを作ることによって、初心者にもベテランにも役に立つことが説明されていました。

仕事柄、様々な業務マニュアルを作ることがありますが、チェックリストを大いに取り入れていこうと思います。

P150
『「ものの見方を変える」』

アイディアを生み出すコツの一つ。

例え弱みであっても、別のコンテキストとしてみると強みになりうる事も大いにあるということ。

2010年6月9日水曜日

[Book] 餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?/林 あつむ

ある経営が傾いたアパレルメーカーにて、社長である父親が急逝したことから社長を継ぐことになった女社長が、会計的な視点で経営を立て直していくお話。

一章ごとに一つの会計テーマについて、アドバイザーである会計士から講釈を受ける形でストーリーが進みます。

なぜか講義会場は毎回レストランなど食事の場で、寿司屋でキャッシュフロー経営を学んだり、餃子屋で限界利益を学んだりしながら、会社再建のアイディアを練っていきます。

P27
『真実を表現した決算書はこの世に存在しない。』

同じ取引であっても複数の会計処理が選択するように、会計には恣意性の入り込む余地があります。

そのことを肝に銘じて、表面上の数字をすべてと思わずに、数字の持つ裏の意味を読み取ることが会計の極意です。

2010年6月8日火曜日

[Book] 「残業ゼロ」の人生力/吉越 浩一郎

先日読んだ『「残業ゼロ」の仕事力』の続編。

前作が残業をゼロにするためにはどうやって仕事の効率化を図るべきかにフォーカスしていたのに対し、本書では残業をゼロにすることによってどうやって引退後の生活を楽しむかが説かれています。

P14
『本生とは、私が「本当の人生、本番の人生、本来歩むべき人生」という思いを込めてネーミングした言葉で、「余生=余った人生」の対極にあります。』

本生(ほんなま)という言葉に著者の考え方が集約されています。
日本ではリタイア後の人生をマイナスに捉える人が大変多いが、それは世界的に見たら特殊なことなんだそうです。

老後の楽しみを夢見ながら引退の日を晴れやかな気持ちで迎えるか、老後が憂鬱だと感じて暗い気持ちで引退の日を迎えるか。
どちらが幸せな姿かは言うまでもありません。


P183
『仕事はお金を稼ぐゲームだと思っていましたから、随所にゲーム感覚を持ち込んで、誰よりも楽しみながら働いてきました。』

前作でも同様のことが述べられていましたが、やはりこの考え方には深く共感します。

ゲームだと思って効率良い手段を用いて攻略する、そして楽しむ。そんな風に仕事に取り組みたいです。

2010年6月7日月曜日

[Book] 「残業ゼロ」の仕事力/吉越 浩一郎

著者は、ノー残業の徹底や、就業時間中の一定の時間を「がんばるタイム」と名付けて個人作業に没頭することを実施している、トリンプの元社長である吉越氏。

上記の制度を始めとした残業抑止のための制度はは、吉越氏がトップとして自ら主導する形で導入されたものだそうです。

本書では、残業を無くすことによって人生が充実したものになる、という立場から、残業がなぜ悪なのか?トリンプではどのように残業ゼロを実現したのか?が語られています。

P23
『残業ゼロでも増収増益』

残業は悪であるといくら説いても、利益をあげられなければ企業は存続できません。

日本では起業の利益は残業という尊い犠牲によってつくられている、という考え方が横行しています。

そこで、それを覆すためには、残業をゼロにしても利益が少なくなるどころか、むしろ利益が高くなるのだという前提が必要になります。

事実、トリンプでは残業ゼロにしても増収増益が続いているそうです。


P47
『「デッドライン」ですべてが決まる』

P54
『「会社にとって正しいことを優先する」、これがデッドラインの決め方の極意』

残業をゼロにしても利益をあげるには、仕事を効率的に進めなければなりません。

その効率化の極意として提唱されているのが「デッドライン」です。
つまりは〆切のことですが、簡単に延長が認められるような甘いものではありません。

それを守れなかったら厳しく追及され、責めを負うものとしてデッドラインを設定することが必要です。


P51
『やることの「優先順位」は必要ない』

P150
『理想を言えば、会社は社員一人ひとりに個室を用意し、そこで仕事させるべきです。』

仕事の効率を上げる方法。

優先順位など考えている暇があったら目の前のことに手を動かせ。電話などで集中力が分断されることによって仕事の効率が大幅に低下する。

自身の仕事への取り組む方法に取り入れていこうとおもいます。


P122
『仕事は「ゲーム」』

この言葉,何度か本書に登場します。
仕事はしょせんゲームという心持ちで臨むことによって、最も効率よく攻略できる方法を取ることがためらいなくできるようになると感じました。。

2010年6月3日木曜日

[Book] 千円札は拾うな。/安田 佳生

世の中で常識とされている様々な考えを捨て去り、本質を高めることによってこそビジネスでの成功をつかむことができる。

タイトルの千円札は拾うなは、千円札を拾うと目線が下がり他のものが見えなくなってしまう、さらに千円札を拾うと得をするという固定観念によって、隣に落ちているかもしれないもっと大きなチャンスを見過ごすことになる、という教訓を表したものです。

P1
『常識とは、十八歳までに身につけた偏見のコレクションのことをいう アインシュタイン』

確かにそうかも知れない。そのつまらない偏見によって以下に自分の可能性を殺していることか。
うーん、深いですね。


P105
『今や「オシャレ」は、「流行や価値観の変化を敏感に察知し、自分をよりよく変えていく」という姿勢の現れであり、その人の「変化値」を見極めるとてもよい指標となっている。』

P141
『今の自分に合う服を着るのではなく、オシャレな服の方に自分を合わせていくことが大事』

男性は女性より変化に弱い。
男性はそのことをきちんと自覚して、常に意識的に変化を取り入れていかないと、すぐに安心できるところに固まってしまうそうです。

見た目がすべてではないですが、見た目は人にとって大きな要素だと思います。

オシャレに気を遣わないとつまらない人間になってしまうな、と考えさせられました。