2010年8月22日日曜日
宋 文洲の傍目八目/宋 文洲
中国からやってきてソフトブレーンを創業したカリスマ経営者として有名な宋 文洲氏が、日経ビジネスオンラインにて連載していたコラムが編集された一冊。
タイトルである傍目八目の意の通り、中国人としての視点から日本の現状について、興味深い考察が綴られています。
やはり中国人の視点から語られる靖国参拝をはじめとした日本と中国の関係に関する章には、私たち日本人には無い視点が多いと感じました。
その他にもビジネスや人生における様々な心に残る教訓がありました。
P18 「逃げる」ことは、「負け」なんかじゃない!
いじめを苦にした自殺の問題から、日本の社会では過剰に頑張ることを求め、逃げることを許さない風潮が強いことを、宋氏は問題視しています。
そこで提案されているのは、問題がある環境から積極的に逃げること。
合わない環境で過剰に頑張ろうとするからこそ無理が生じるのであって、報われない環境から逃れて、違うチャンスをつかむことも立派な努力とのことです。
加減を見誤れば努力放棄にもなりかねませんが、何をしてもうまくいかない、どうしても耐えがたい困難に直面してしまった場合には、この言葉を思い出してみようと思いました。
P39 英語のeducation はeduce から変形したものです。educe の意味は「引き出す」で、「教え込んで育てる」という意味はありません。
仕事で教育する側の立場になる機会を持つ事があるため、この一節が心に刺さりました。
人間は勝手に育つもの。能力を引き出すための刺激を与えるのが教育であって、それを超えた過剰な押し付けは教育者のエゴに過ぎないということを肝に銘じていきます。
P178
実際の経営能力を上げるには、経験に優るモノはありません。
いつか会社や組織を経営する立場になるのが夢ですが、やっぱり経験に優るものはないのでしょうか。
ビジネススクールなどで経営学を学んでから、なんていう考えもあるのですが、どうしたものか今後も色々と考えていきたいと思います。
2010年8月18日水曜日
上司はなぜ部下が辞めるまで気づかないのか?/松本 順市
部下が辞めてしまうのはヤル気を失うから。
ではそのヤル気を起こさせ維持させるには、上司はどうやってマネジメントしていったら良いか?を説いた一冊。
「認めてくれる人がいるから、ヤル気が出る」というシンプルなルールを実行に移すことにより、以前の職場や独立後にコンサルタントを行った多数の企業での様々な仕掛けが説明されています。
P32
部下に「ありがとう」と言っていますか?
部下を認める=良いところを褒める、という行為になりますが、いきなり褒めろと言われてもなかなか難しい。
そこで、ファーストステップとして、どんな些細なことでもいいから「ありがとう」と声をかける事が勧められています。
確かに褒めるとなるとハードル高い気がしてしまいますが、「ありがとう」だったらもっと気軽に実行に移せそうです。
P106
「ワクワク」させておきながら「ガッカリ」させてはいませんか?
仕事に限った話ではありませんが、「ワクワクさせておいてガッカリ」はモチベーションが下がり、信頼も損なう、と著者は説きます。
これは日常生活で多く経験がありますね。一緒に遊ぶ約束してたのに、当日になってドタキャンされるとか、かなりガッカリしますし、次に同じ約束してもまたドタキャンされるんじゃ?と疑ってしまいます。
何事においても約束は安請け合いしないように注意しなくては、と思いました。
2010年8月16日月曜日
でかいプレゼン 高橋メソッドの本/高橋 征義
"高橋メソッド"とは、1枚のスライドに5〜10文字程度の文字を、100ポイント超の特大フォントで描いた多数のスライドを用いたプレゼン手法のこと。
発案者である著者自らが、メソッドの特徴や使い方について解説した一冊です。
面白いのが、本の右半分は実際に高橋メソッドを用いた説明になっているところ。
なので、本としては最初に右半分のページだけを最後まで読み進め、次に最初に戻って左半分のページだけを読み進めていくことになります。
著者自身も語るように万人向けのプレゼン手法ではないと感じましたが、プレゼンのターゲットは誰なのかを考え、そのターゲットに向けて最も効果的だと考えられる手法でプレゼンを行うというのは、基本中の基本ではありますがなかなか考えが及ばないところだと思います。
P20
高橋メソッドは、以下のような場合に、とても効果を発揮します。
・発表時間が短い
・会場が広い
・スクリーンが大きい
・聴衆が多い
・聴衆が発表内容の分野に詳しくない
高橋メソッドは、底辺の引き上げを行うことに長けたプレゼン手法です。
P118
もんたメソッド
もんたメソッドの例。
もんたメソッドとは「 」のプレゼン手法を応用したものです。
↓
もんたメソッドとは「みのもんた」のプレゼン手法を応用したものです。
おもいっきりテレビとかでやる、フリップのキーワード部分を隠しておいて、デデデンとめくるやつです。
確かに印象には残るので、あれも一種のプレゼン手法か、と改めて感心しました。
2010年8月12日木曜日
日経ビジネスアソシエ 2010/08/03・08/17合併号
特集は「超実践 思考術」。
ロジカルシンキングや、MBAの本などで紹介されるフレームワークに関する特集。
興味のある分野ではあるのですが、なかなか雑誌を読んだだけでマスターするのは難しい。。。
その他、気になった記事。
P136-137 勝間和代のニュースな仕事術より
テーマ 英語の公用語化
英語の公用語化によって期待される効果
①販売・仕入れ市場の拡大効果
②人材市場の拡大効果
③論理的かつフラットな英語文化の浸透効果
④学習能力の振り分け効果
①②④はなんとなくわかっていましたが、③の効果は個人的に思いもよらない発想。
英語と日本語の言語としての特徴の違いによってもたらされる効果も少なくなさそうです。
P138-139 働く人の心に効く耳の痛い話 より
ロールモデル探しは時間のムダ
「会う人みんながお手本」の精神を
すべてにおいて完璧なお手本、ロールモデルを求める風潮が強くなっていることに対する警鐘を鳴らす内容でした。
お手本にできる人がいない、といって会社に絶望してしまう人が多いが、そもそも何においても完璧な人などいない。
でも、誰しもが優れた点をもっているはずなので、それをいいとこ取りしていくべし。また、どうしても良いところが見つからなかったら反面教師として学ぶべし。この姿勢を忘れずに生きていかないといけませんね。
2010年8月8日日曜日
食品の裏側 みんな大好きな食品添加物/安倍 司
著者は元々は食品添加物を売る側の立場。
売っている当時は自分の仕事に誇りを持ち、それこそ添加物を売りまくったそうですが、ある出来事を機に食品添加物のあり方に疑問を抱くようになりました。
それからは食品添加物の会社を辞め、食品添加物に関する情報公開を使命として、元業界人の立場を活かした啓蒙活動に携わっています。
かといって、食品添加物=悪、という一元論ではないところが、この手の本としては珍しいところです。
食品添加物を使うことによって、調理時間が大幅に短縮できるなどの利益を人が得ていることも紛れもない事実だとして、前半では食品添加物の害や制度上の問題なども取り上げつつも、後半では食品添加物とうまく付き合って共存していく道を示しています。
P191
『食品添加物とは、台所にないもの』
何百種類にも及ぶ食品添加物を記憶するのは不可能だし意味がない。
そこで基本中の基本として「台所に無いもの=食品添加物」と定義することによって、まずは食品添加物がどれほどの食品に入っているのかを知ることが大切だと著者は説きます。
情報開示が十分にされていないことは確かに問題ですが、現状を知らなすぎる消費者にも問題ありですよね。
まずは自分が何を食べているのかを知る、現状把握が大切だと言うのは何においても共通のことです。
P194~
食品添加物と上手に付き合う5つのポイントより
①裏の表示をよく見て買う-まずは手首の練習から
②加工度の低いものを選ぶ-手間をとるか、添加物をとるか
③「知って」食べる-1週間というスパンで考える
④安いものだけに飛びつかない-安いものには理由がある
⑤「素朴な疑問」を持つこと-添加物と付き合う最初の一歩
①は上記の現状把握。さらに③も加えて考えることで、目先のことだけで一喜一憂しないことも大切です。
②④⑤は心構え。特に⑤のように、何でこんなものが入っているの、添加物表示のこれは何?と疑問を持つことが大切です。
2010年8月4日水曜日
200メートルの行列ができる繁盛店はこうつくる!/山添 利也
著者は、楽天市場のスイーツランキングで全国一位になり、都市部の百貨店の催し物でも大人気のチーズケーキを開発・販売している和歌山の洋菓子店、アルトロシエスタの経営者。
商品が良い⇒人気が出る⇒行列ができるほどの人気、ではなく、行列ができる⇒商品の良さを広く認知してもらえる⇒人気が出る、というアプローチでのマーケティング手法を解説した一冊。
前半は行列を作るためのノウハウにつて述べられているので、そこだけ読んだらなりふり構わず人気を装おうとしてるなぁ、と引いてしまいましたが、後半では行列を作るのは素晴らしい商品を知ってもらうための手段に過ぎないことや、地方店舗が頑張ることによって地元への貢献をしていきたいという強い想いが語られており、そこまで読むことによって行列を作る意味をきちんと理解することができました。
B to C の業態に携わる人には、参考にすべきことが多いと思います。
P54
経営コンサルタントは、決して無から有を生み出すのではありません。有を、再現性のある法則に加工するのです。
元経営コンサルタントである著者が、行列を意図的に生み出せる、と豪語する根拠はここにあると思います。
確かにうまく商売をまわしている人は多いですが、うまくいっている法則性を見つけ出して、それを再現性のあるフレームワークへと昇華するのが経営コンサルタントなんですね。
P128
店や商品のコンセプトをより明確にし、お客様がどのようなキーワードで検索をかけると、自分の店が検索上位に上がるべきなのかを逆算して考える
ホームページの作り方からの一節。
ホームページに限らず、広告を用いて自身の商品などを売り出す際に、いったい何がウリなのかを考えなければいけません。
そのウリを、商品の設計段階から明確にする、というのが、わかってはいるけどなかなかできないことだと感じます。
しっかり設計をやったソフトの方が、結果的に品質も高くて安定している、ということに通ずるなと感じました。
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