2011年11月4日金曜日

退散せよ!似非(エセ)コンサルタント/船井 幸雄 & プロフェッショナルコンサルティング/波頭 亮・冨山 和彦


コンサルタントという仕事に興味を持ち始めたので、それが実際にどんなものなのかを知るために2冊の本を読んだ。



波頭 亮,冨山 和彦
東洋経済新報社
発売日:2011-05-27


1冊は日本のコンサルタントのパイオニアである船井氏がコンサルタントの在り方を語ったもの。
もう1冊は現在の日本におけるトップコンサルタントである波頭氏と冨山氏の対話を収めたもの。

コンサルタントという仕事がめちゃくちゃハードだということがひしひしと伝わってくる本だったが、
それと同時にコンサルタントという仕事への憧れが益々強くなってきた。


2冊の本を通じて見えてきたことは以下の4点。

1.コンサルタントは医師に似ている
2.知識ではなく”経験”がものをいう
3.コンサルティングは人間対人間の真剣勝負
4.仕事に全身全霊を懸ける

1.コンサルタントは医師に似ている
コンサルタントは企業の置かれた状況を診察して、病気を治したり命を救ったりする仕事である。

医師が多くの患者を診た経験によってどこが悪いのかをわかるのと同じように、
コンサルタントも多くの企業を見ているからこそ見えるものがある。

2.知識ではなく”経験”がものをいう
上記の通り、様々な経験を通じてこそ持てる視野がある。
そのため、若いうちに様々な経験を積むこと、新しい経験の機会を積極的に得ていくことが大切となる。
MBAも意味が無いわけではないが、知識が経験を凌駕するわけでなく、あくまでも知識は経験を補完するものである。

3.コンサルティングは人間対人間の真剣勝負
企業を治すといっても結局動くのは人間。動く人間をどれだけ納得させられるかが最後は求められる。
そのためには、顧客よりもコンサルタントの方がより真剣に企業のことを考えている、という姿勢を持って取り組まねばならない。

4.仕事に全身全霊を懸ける
様々な経験を重ね、日々の真剣勝負を重ねるためには、仕事に対して本気にならなければならない。


職種は違えど、仕事への取り組みの姿勢として多いに参考になることばかりだった。

今の自分は経験できる領域も狭く、真剣勝負と言えるほど仕事に力も注いでいないのかも知れない。
もしそれができないのであれば、本当に職を変えることも考えなくてはならないだろう。

2011年10月24日月曜日

神様のサービス 感動を生み出すプラス・アルファの作り方/小宮 一慶





『満足という土台があってこそ感動を与えることができる』

様々なサービスの事例を紹介しながら、感動を与えるサービスとはどういったものかを紐解く一冊。

著者の小宮一慶氏は経営コンサルタントとして名高い人物ではありますが、
この本で紹介されるサービスの事例については自身が客の立場で接したものも多く紹介されており、
思わず共感できるものも少なくありません。

一部のサービスの批判については、やや主観的すぎるのでは?と思うものもありましたが、
各サービスに対する分析の鋭さは目を見張るものがあります。

自分が同じサービスを受ける立場だったとして、同じように様々な気付きを得ることができないかも知れません。

知識や経験はもちろんのこと、日常生活におけるアンテナの張り方についても勉強になる一冊でした。

 以下、読書メモ。

> P16
> 最適な「QPS」の組み合わせを考えているか?

Quality … 品質
Price … 価格
Service … サービス

サービスこそが差別化のカギとなる。


> P51
> たいていのお客さまの基準は相対的

よって時代によって求められるサービスの質は変わってくる。

過去の成功経験に囚われて自分を変化させない企業は淘汰されていく。
環境の変化に合わせて自分も変化していかなければならない。


> P61
> 「満足」という土台もなしに「感動」させることばかり考えても、うまくいきません。

> P87
> 「満足」をとことん追求すれば、お客さまは「誰かに話して伝えたい!」と感動して(中略)「代弁者」になることがあり得るのです。

どうしても感動ばかりを考えると一発限りの派手な演出などに目が行きがちですが、
当たり前のことを当たり前に徹底して満足を追求し続けることによって感動が生まれる。

事例としても紹介されているディズニーランドでの「感動」は、
まさに「満足」という土台の上に成り立っていると感じました。

> P72
> サイレント・マジョリティ
> ノイジー・マイノリティ

声の大きい少数派にばかり目を向けて、物言わぬ多数派をないがしろにすることの無いように。
自戒も込めて。


> P117
> まずCSを高め、それによりESを高める

従業員満足を追求する、なんていうのは勘違いも甚だしい。
顧客満足を高めることに喜びを感じて従業員満足が上がっていくのが理想のサイクル。


> P153
> お客さま第一主義実践計画表

神奈川ナブコという会社での取り組みの紹介。

> お客さまのところには5分前に到着する
> 現場の施工後は5分間掃除をする
> 見積書を前日までにお客さまにお届けする

といった、顧客目線でのKPI は目から鱗でした。

2011年9月14日水曜日

社長になる人のための経理の本/岩田 康成




企業経営に必要な会計の知識を、一泊二日のセミナー形式で説明されています。
実際にセミナーに参加しているかのような気持ちで読めるので、すいすい頭に入っていきます。

主に財務会計に関する話題が中心ですが、税法や管理会計に関する話題にも触れられています。

以下、読書メモ。

P69
運転資金


ワーキングキャピタル(WC)のこと。
これがわかってないと黒字倒産する可能性が高い。

P75
保守主義 予想の利益は計上すべからず、予想の費用は早目に取り入れるべし


保守主義を簡潔に言い表した一文。

P83
利益という看板をいくつかの小さな看板に書き換える


利益処分案の本質はこれ。

"利益処分"と聞くと儲けたお金を山分けするようなイメージを持つが、
実質的には利益の行先を決めて看板を付け替えるだけ。

配当すると決めた場合には、その瞬間に未払配当金が誕生するだけで、
実際の支払いはまた別の話。


P105
資金のタイミングに関しては一日たりとも失敗は許されない


赤字を出しても会社は潰れないが、不渡りを出せば会社が潰れます。


P110
貸借対照表が将来の費用の固まりを一時的に保留するところでもある


前払いや未払いの項目が載るのもこれで納得。


P129
当期の損失は五年以内に利益が出て相殺できれば、欠損金×実効税率だけ税金支出を圧縮できる


繰越欠損金の話。
繰越が認められる期間が、現在は七年に延長されているようです。


P195
差異分析は、現状がどういう位置にあって、現状をよくするためにどうすべきか、
という行動を促すためにやっているんであって、ただ数字をひねくりまわして差異を解明するだけでは、
経営に役立つ分析や仕事ではありません


会計に限らず、俗に言われるフレームワークというものを覚えた人は、
往々にして情報をひねくり回して煙に巻く傾向が強いように思います。

So What?を導かなければ意味が無いことを肝に銘じておかなければなりません。

P197
計数管理のねらい
 共通の認識、同じ土俵で行動
 PDSのマネジメントサイクル
 人々の意欲と行動の集中化


予算管理の目的は、共通の目標を作って、それをPDS していくこととで、改善と組織のモチベーション向上を促すこと。

2011年8月6日土曜日

決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法/國貞克則



会計がわかるためには財務3表の"つながり"を理解すること。
そんな観点から、様々な取引を財務3表のつながりで表現するとどうなるかを徹底的に説明した一冊です。


この本で扱われる財務3表(BS 貸借対照表、PL 損益計算書、CS キャッシュフロー計算書)の"つながり"は以下の5つ。

A.PL の"当期純利益"とBS の"利益剰余金"はつながっている
B.BS の右と左は一致する
C.BS の"現金及び預金"とCS の"現金の残高"は一致する
D.間接法のCS の一番上にはPL の"税引前当期純利益"を持ってくる
E.直説法のCS と間接法のCS の金額は一致する


この"つながり"を意識すると、会計の全体像が非常によくわかります。
簿記の勉強が1本1本の木を見るものだとすれば、財務3表は森を見るようなイメージです。

簿記の勉強はしたことがあるけど、会計ってイマイチよくわからない、という人にはおススメの一冊です。
大学で会計を勉強していた当時にこれを知っていれば…と痛切に感じました。


以下、読書メモ。


P137
「借入金を返す」より
間接法CS で支払利息が二重計上される。足し戻しを忘れないこと。


営業CF の小計は純粋な営業CF の額を表すため。利息は本業とは関係ないので小計の下に記載する。


P174
PLとBSは操作されている


PL・BSは経営者や株主の意向によって操作をする余地が色々とあるよう。

例)
社長の報酬を短期貸付金として計上する
キャンセルを前提とした売上を立てる など

だからこそ、ごまかしの効きにくいキャッシュフロー計算書にも注目する必要があるのでしょう。


P183
CS のパターンで会社の情報が推測できる

営業CF/投資CF/財務CF

/+/+ → 将来の投資のためにお金を集めているのだろうか
/+/- → 財務体質強化の段階にある会社だろう
/-/+ → 将来の戦略も明確な優良企業のパターン
/-/- → 潤沢な営業CFがある会社であろう
/+/+ → 問題会社の一般的なパターン
/+/- → 過去の蓄積を切り売りして事業を継続している
/-/+ → よほど自信がある将来計画があるのだろうか
/-/- → 過去に多くの現金の蓄積があった会社なのだろう


CS のポイントは3つのCF。
ある程度のセオリーを知っているのは大事ですね。

2011年7月26日火曜日

数字は見るな! 簿記があなたの会計力をダメにする/田中 靖浩



数字が出てこない斬新なスタイルの会計入門書。

副タイトルでも痛烈に批判しているように、簿記だとかで細かい数字を追うんじゃなくて、右脳的感覚で数字の大きさとか流れを掴むのが、ビジネスマンに必要な会計を読むってことなんだよ!ということを教えてくれる一冊です。

以下、読書メモ。

P59
数字を「作る・読む・活かす」
P66
作れなくてもいいから「読める」ようになる。これがすべてのビジネスマンに必要なのです。


ここを読んで「会計=簿記」という固定概念がひっくり返りました。

簿記は数字を"作る"方法で、経理マンや会計ソフトを作るSEには必要な知識。

ただし、その他大勢の一般ビジネスマンに必要なのは数字を"読む"力と、必要に応じてそれを"活かす"こと。

なので簿記に詳しいのと、数字を読んで活かすという力は全く別です。

自分が簿記はそこそこ詳しいのに、財務諸表を見ても何も感じ取れないのはまさにこれだ(-。-;


P92
数字の基本は「点と線」


点=B/S
線=P/L


P128
おカネが右から入ってきて、左でグルグル


B/Sのイメージ。
まさに"資本の回転増殖運動"を示していますね。


P167
管理会計では、会社の数字をy=ax+bで考える


管理会計の基本は損益分岐点を知ること。そして損益分岐点を"予測"すること。


P176
会計はこうした、将来失われてしまった可能性や儲けを計算するのことが不得意。


だから個人も会社もそして国家も、おカネにとらわれすぎるとどうしても「縮んで」しまうんですね。

会計の限界もきちんと認識しておかなければなりませんね。

2011年7月22日金曜日

経営の大局をつかむ会計 健全な”ドンブリ勘定”のすすめ/山根 節



ビジネスのリーダーに必要なのは大局観であり、そしてそれを支えてくれるツールが会計である。

会計と言うと細かい数字が羅列されている財務諸表を思い浮かべてしまい、あんなものは一部の専門家だけが読める特別な表であるという苦手意識を持ってしまいますが、この本を読むとそれがいかに間違ったイメージであるかがわかります。

会計はビジネスパーソン、特に広く世の中にアンテナを張るビジネスリーダーにとって、世の中の流れを知るための重要なツールであることがわかります。

一応これまで簿記の勉強などをしてきたので会計はそこそこ知っているつもりでしたが、それは木を見て森を見ずの状態であったことを反省。

まずは自分の勤め先の財務諸表を読むところから、自分の会計リテラシーを磨いていきます。

以下、読書メモ。

P34
『会計はまず経営活動に光をあてます。この光は貨幣価値という光です』


⇒ 会計は経営全体を照らし出してくれる唯一のツールであると同時に、
  逆にそれが会計の限界。貨幣価値に引っかからないものは見えない。
  しかし、会計から経営をイメージすることはできるので、そのセンスを
  磨くことは絶対に必要。


P38
『仕事で会計の使える経営管理者になりたいのでしたら、いきなりリアルな財務諸表と格闘することをお勧めします』


⇒ 会計はビジネスパーソンの言語。言語はとにかく使って覚える。納得です。


P81
『経営はストックの拡大再生産プロセス』
P84
『ストック資源を成長させるために儲けるという拡大再生産活動こそが、経営そのものである』


⇒ 経営は"資本の回転増殖運動"である、というのを言い換えたのがこれ。
  B/S に表現されストックを使ってP/L に表現されるフローを回していき、
  結果的にはストックを増やすことが経営です。


P142
「会計で会社を立て直す」より
『財務リストラクチャリング - 資金ポジションの改善策』
  ↓
『営業・生産リストラクチャリング - 売れる仕組みの改革、生産改革』
  ↓
『研究開発リストラクチャリング - 売れる製品の開発、技術基盤作りへの改革』


⇒ 会計情報を使って、どのように会社の経営を立て直せ良いかというセオリー。
  業績回復のケースを振り返ってみると、このパターンに則ったものが多いですね。

2011年1月15日土曜日

グロービス 経営戦略・マーケティング基礎 Day1


大塚家具とニトリという家具小売の有名どころを題材としたケースを使い、経営戦略とは何なのか?戦略を語る上での分析にはどのようなものがあるのか?を学びました。

●本日のキーワード
『整合性』そして『で?』

・整合性
優れた経営戦略は、外部環境との整合性がとれている。
外部環境が変わっているのに戦略を変えない企業は滅んでいく。

・で?
これから3ヶ月間、経営戦略やマーケティングに関する様々なフレームワークを学びます。
フレームワークを使う場合には、「で?何が言えるの?」を必ず導き出さなければいけません。

フレームワークの知識がある人は「3Cを調べました!」「4Pでまとめました!」と、フレームワークを使うことに満足してしまう傾向が強いけど、それじゃ意味が無い。
むしろフレームワークを盾にして周りを煙に巻こうとしてるんだからタチが悪い。

●メモ
Ⅰ.経営戦略
1.経営戦略とは?
 『企業あるいは事業の目的を達成するために、持続的な競争優位性を確立すべく構造化されたアクション・プラン』

 施策(アクション・プラン)を並べても戦略の説明にならない。
 ・何を目的として?
 ・どんな優位性を確保するために?
 が必要。
  ⇒それを導き出すために環境分析が必要
   目的があってアクションプランを作るのが正式な流れになるが、
   競合他社の分析などではアクションプランを見て目的を予測する

2.戦略は何のために必要か?
 a.資源配分 - 経営資源の有効活用
 b.構成員(社員)の意思統一
 c.ステークホルダーへの説明責任

Ⅱ.環境分析
1.環境分析の流れ
 マクロ環境分析(PEST) ⇒ 業界分析(5F) ⇒ 市場環境分析(3C)
 環境分析によって、最終的にKSF を導き出す!

2.5F
 a.5F の目的
 ・矢印(圧力)の大きさを見る ⇒ 各圧力にどうやって対抗するか?
 ・その業界の魅力度(儲かるかどうか)を見る ⇒ そもそも参入すべきか?

 b.5F の要素と脅威を減らすためのアクション
 ・新規参入の脅威(上)
 例:少額資本でも参入可能なインターネットビジネスなど
 対抗策:ブランド構築、広告宣伝への多額投資、特許・意匠登録

 ・代替品の脅威(下)
 例:ガスに対するオール電化、クリーニングに対する形状安定シャツ
 対抗策:自社も代替品に参入する、代替品が広まる前にシェアを確保するなど

 ・売り手の交渉力(左) … 調達コストの引き下げがやり易いかどうか?
 例:仕入のチャネルが限られるもの(石油など)、真似できない技術を持つ
 対抗策:売り手と自社のWin-Win の関係を作る、原料メーカーとの統合

 ・買い手の交渉力(右) … 価格値下げが起こりやすいかどうか?
 例:同様の商品が他にもある(日用品など)、
 対抗策:商品に対するブランド構築

 ・業界内の競争(中央)
 業界内のシェア争いが激しいかどうか?
 対抗策:競合他社との提携、垂直統合など

 ※業界定義を根本から変えることによって活路を見出す方法もある(海外展開など)

3.3C
 a.分析のステップ
 市場・顧客分析 → KBF を明らかにする
 競合分析、自社分析 → KSF(KBFを満たすには?)

 b.市場・顧客分析
 対象顧客、ニーズと利用シーン、DMU などを分析してKBFを明らかにする
 
 *市場・顧客分析のフレーム(5W2H の視点)
 対象顧客
 ニーズと利用シーン
 DMU(購買決定者)
 KBF 

 似たような業界でも相手にしている顧客が異なればKBSが違う=KBF も変わってくる

Ⅲ.戦略と環境
 1.戦略と環境の"整合性"
 経営戦略と外部環境の整合性が重要!
 外部環境が変われば、経営戦略もそれに合わせて変化させる必要がある。

 2.成功者が失敗するケース
 a.環境の変化に合わせて自身を変えることができない
 過去の栄光にしがみつき、勝ちパターンを捨てられない
 その間に他企業に先行されてしまう

 b.成功した理由がわからない(整合性がわかっていない)
 まぐれ、一発屋